2013.09.11 Wednesday
とあるジャズメンの話

とあるジャズメンがジャズ喫茶のママに失恋の話をした。
ママは彼に、男のくせに女のことでメソメソするんじゃない!女なんて沢山いるんだからまたすぐにできるから!
ママはそう言って彼を励ました。
彼はママに、ありがとう。おかげで元気が出たよ。と言って帰っていった。
その数ヶ月後にそのジャズメンは自殺した。
今日僕は実際にママからその話を聞きいた。
その彼がプレゼントしてくれたという、彼のとても大きなポスターがそのジャズ喫茶の壁に貼ってある。
僕はそのポスターを眺めながら、そしてその出来事を想像しながら、ビールを胃に流し込んだ。彼の悲しみもたぶん少しだけ流し込んだ。たぶんママの悲しみも少しだけ。
ママはこの時期は夜が早く来るから寂しくなるわね。と言った。
僕は、そうですね。と答えた。